Bart van Lier

Coordination Training Program for Trombone Playing

 トロンボーンを演奏される日本全国・世界各国のみなさんへ、そしてトロンボーンを含む金管楽器の指導者のみなさんへ、世界のジャズシーンで活躍するバート・ファン・リールBart van Lierの著書「コーディネーション・トレーニング・プログラム・フォア・トロンボーン・プレイング」の日本語版のご案内です。
「英語版」、「オランダ語・ドイツ語・フランス語版」に続いて、日本語版が2005年の6月下旬に発売になっており、すでにご存知の方も多くいらっしゃると思います。

 私は2002年にオランダ・ロッテルダム音楽院へ来てBart van Lier氏のレッスンを受けるようになって以降、他のクラシック科・ジャズ科の学生やプロ奏者たちと同様に、この本はトロンボーンの演奏を勉強するにあたりとても重要なヒントを得るものでした。
彼のレッスンで私は、この本の使用法を含めた練習方法のほか、演奏時に必要な要素・概念・アイディアなどの手ほどきをもらってきました。特にテクニックの領域において、演奏の仕組みを理解し、奏法の矯正や精度の向上のための指針をたてて、エクササイズの日課やトレーニング方法を構築していくのに非常に役に立ってきました。

 音楽院内で行われる彼のマスタークラスにはクラシック・ジャズを勉強するトロンボーンの学生をはじめ、他の楽器の学生や卒業した一流プレーヤーたちも頻繁に訪ねてくることから、僕はぜひこの本のアイディアを日本で演奏されているみなさんにもお届けできたらいいなという希望を持つようになり、しばしばBart本人とそのことを話題にしていました。その後、実際にこの本の日本語版が作られる運びになっていると聞いて、私はBartから監修を依頼され、実際に出版されることになりました。

 テーマになっている"coordination"という言葉は、日本語で「(複数のものを)調和させる、総合する」などの意味です。金管楽器の演奏という行為は、体の各パーツで行う運動を複数組み合わせて実行されますから、まずそれぞれの運動を“正常に”作動・操作させることができる必要がありますし、またそれらを2つ、3つと組み合わせて音楽的な目的に沿った演奏に近づいていくときも、その運動の状態やタイミングをコントロールできなければ、演奏に大きな困難が伴ってしまい、奏でるサウンドの様々な質や量が制限されてしまいます。


Bart van Lier at Urbie Green Concert
during Slide Factory 2007

 この本は、音楽的な目標を見失うことなく、私たちの体で行う演奏という動作をよりスムースに行い演奏の可能性や幅を広げるための手引きになることでしょう。

 「この本のエクササイズは、ウォーム・アップやコンディション作りのときに単独で行うだけでなく、他のメソードやエチュードや楽曲などの練習材料と組み合わせて取り組むことで、最大の効果を発揮します。」(Bart 談)

 監修にあたって、Bartと直接相談しながら、日本語に直したときにわかりにくくなる部分、いろいろな意味合いにとれてしまう部分を工夫し、また彼の考え方の根底にあることやその語り口調などをできるだけそのままに届けられるようにしました。
また、出版社であるATNのスタッフの方々のご協力をいただいて、他の日本の書物と比べて表現上の大きなギャップを作らないよう、いくつかの点でよりわかりやすくあるいはより具体的に表す工夫がされました。


Bart van Lier at encore Slide Factory 2007

 これをきっかけに、みなさんの奏法が向上したり、不明だった点が解決したり、演奏がラクになったり、練習やリハーサルがより楽しめるようになれば、なによりです。専門で演奏・勉強なさる学生・プレーヤーのみなさんには、より深い・広い考察や研究や談義の機会になれば幸いです。

 本書に関するご質問やご感想などがあれば、ぜひこちらまでお寄せください。

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