EUROPEAN TROMBONE FESTIVAL "SLIDE FACTORY" 2009

DAY 3 / 4 (Saturday 28 March)

【3月28日(土)〜フェスティヴァル第3日】

09:00-10:00
Warming-Up
Ben van Dijk
10:00-17:00
Music Market
Adams (Edwards), Warwick, Courtois, Instrumentenbau Jurgen Voigt,
Tools4Winds, Schagerl, Yamaha, Latzsch, Edition Elm, Shires, Slide Factory 2009 stand CD sales
10:00-10:45
Clinic Meet the Maestros
Joseph Alessi, Christian Lindberg
10:30-15:30
Quartet Relay
Trombone Classes from New York, Lyon, Lausanne, Berlin and Rotterdam
11:00-12:30
Workshop
B.v. Dijk, M.Boonstra, B.Claessens, N.Schippers, R.d.Jager
12:00-13:00
Young Trombone Collective
Young Trombone Collective, P.Moore, P.Volders, B.Attema, M.Schippers
13:00-14:00
Music Education in Europe
N-O.B.Johansen, C.Houlding, G.Wiegel
14:00-15:00
Guest Stars Recital
B.Attema, M.Becquet, C.Houlding, N-O.B.Johansen, P.Moore, J.v.Rijen, A.Haring(harp), A.Libo(piano)
15:00-16:15
Rehearsal Earth Tone Journey
All participating trombonists, A.Peggie, Trisno Sowoero, Casa Tiberias, Brassband School, Five Trombone Classes
16:30-17:30
Earth Tone Journey Open Air Spectacle
All participating trombonists, A.Peggie, Trisno Sowoero, Casa Tiberias, Brassband School, Five Trombone Classes
20:15-22:15
Courtois Gala Concert New Trombone Collective
NTC, J.Alessi, C.Lindberg, N.Wogram
22:15-24:00
Jazz Cafe The Young Sinatras
The Young Sinatras

 

A huge Warm-Up session with Ben van Dijk in the foyer of De Doelen

 フェスティヴァル3日目の朝は、De Doelenのホワイエでのベン・ファン・ダイクによるウォーム・アップ・セッションからはじまりました。P.ムーアくんを含む100人を超える参加者を集め、De Doelen中にウォームアップのサウンドが響き渡りました。フェスティヴァル実行委員も、トロンボーン吹きですから受付カウンター越しに参加です。ベンの著書である"Ben's Basics"の内容に沿ったセッションが、より詳しい説明やイメージが添えられながら、約1時間続きました。

 

 10:00にはFestival Marketがオープンし、多くのブランドが軒を連ね、イベントの合間に(数人はイベントそっちのけで)、アルト、テナー、バス、コントラバストロンボーン、サックバット、チンバッソ、テナーテューバなどの楽器を試奏したり、マウスピースを試したり、新しいヴァルヴシステム、楽器ケース、ミュートなどのアクセサリーの展示を訪れて説明を受けたり質問したり。日本では入荷数の少ないドイツのブランドの楽器を多く試奏できたり、至近距離でスーパープレーヤーたちがいろいろと楽器を試していたり、さらには各ブランドのスタッフやディストリビューターに直接質問ができたり説明を受けたりと、貴重な機会だったかもしれませんね。

 楽譜は、New Trombone Collectiveシリーズを出している大手Warwick社のほかに、東欧からも出店があって人々はお手頃価格の楽譜を購入していました。

Everyone trying many models including the newests. Of course contrabass trombones and sackbuts too!

Desk of the ITF2009

 

 6月25〜28日に行われるインターナショナル・トロンボーン・フェスティヴァル2009(オルフス・アルハス、デンマーク)International Trombone Festival 2009 (Aarhus, Denmark)のブースもあり、チェアマンのNils-Ole Bo Johansenとともにフェスティヴァルの宣伝を行っていました。

 A.Courtoisのブースで記念撮影!
(作曲家でトロンボニストのヨハン・デ・メイJohan de Meij氏, コルトワのオランダ国内代理店のヤン・ヤンセンJan Jansen氏)

 

 10:00から、中ホールJurriaanse Zaalにて"Meet the Maestros"と題したクリニックが行われ、世界で最も有名で活動が活発なクラシカル・トロンボーン奏者の二人、ジョゼフ・アレッシJoseph Alessiとクリスティアン・リンドバーグChristian Lindbergが登場した。ジョーが"Love's Notes"(Nicola Ferro)という彼のための新作を世界初演し、 クリスティアンが自作の"Joe Jack Binglebandit"を披露したあとは、聴衆から自由に質問ができる、この二人による夢のQ&Aタイムに! 日々の練習スケジュールのこと、作曲方法こと、作曲や指揮の活動とトロンボーン演奏の両立について、リップ・バズィングの重要性について、など会場からは大小さまざまな質問があがり、挙手の数に対して時間が圧倒的に足りない様相でしたが、ウンウンと頷く姿、メモをとる姿、二人のマエストロの相違に驚いた顔、ジョークに思わず笑いがこぼれる顔などがみられ、充実した時間になった模様でした。

 

Joe & Christian at their discussion

 

 10:30には"Quartet Relay"と題し、5つの音楽院のトロンボーン学生たちが組んだたくさんのトリオとカルテットが、ロッテルダムの街全体に散らばって、移動→路上演奏を繰り返し、まるでストリート・ミュージシャンのように街中にトロンボーンのサウンドを鳴り響かせました。交差点、表通り、裏通り、ショッピング・モール、電車やトラムの駅、ときには車道の真ん中で、サプライズ・ミニ・コンサートの連続です。広く散らばった無数のグループは演奏を繰り返しながら、夕方に街の中心にある広場Schouwburgpleinで行われる野外イベント"Meet the World"に集結します。

 

 11:00-12:30はワークショップで、ベン・ファン・ダイク、マルク・ボーンストラ、バート・クラエッセンス、ニコ・スキッパース、レムコ・デ・ヤーヘルの教授陣たちによる個人レッスンが行われました。すべてのレベル・年齢の参加者が対象で、担当の先生とともに部屋へ移動して、小さいグループごとのマスタークラスになりました。希望者が多く抽選になりましたが、積極的に名簿の序盤に記名した日本からの皆さんはおおかた演奏して指導を仰ぐことができたようです。

Lesson rooms of Mark Boonstra and Nico Schippers

 

 

YTC with Peter's successful debut!!

 12:00-13:00は、1月のオーディションで激戦を勝ち抜いた12人の才能あふれる若き"Under 18"オランダ人トロンボニストたちのグループ"Young Trombone Collective"のデビュー・コンサートでした。数ヶ月にわたってNew Trombone Collectiveのメンバーたちによる厳しい指導とリハーサルを重ねてきたオランダ国籍のアンダー18たちは、このスライド・ファクトリー2009でとてもチャレンジングなプログラムに挑みました。また、昨年イギリスで弱冠12歳にしてBBCヤング・ミュージシャン・オヴ・イヤー賞を獲得したピーター・ムーアPeter Mooreがこの若いYTCにゲスト・ソリストとして参加、聴衆の度肝を抜きました。公式DVDに収録!

Peter Moore and Young Trombone Collective conducted by Brandt Attema playing "Wooden Snow"

 

 

 13:00-14:00には、ニルス・オレ・ボ・ヨハンセンNiels-Ole Bo Johansen、クリス・ハウルディングChris Houlding、ジョージ・ヴィーゲルGeorge Wiegelという、ヨーロッパのトロンボーン教育において重要な3人の教授たちによるクリニックが行われました。スカンディナヴィア各国、イギリス、ドイツ、ベネルクス三国のそれぞれのトロンボーン事情に精通したこの“マスター”たちが、各国の教育システムや理念などを比較するところから討論が始まり、終始和やかな雰囲気で笑みもこぼれ、会場からもいくつかの質問が出ました。

(L-R) Geroge Wiegel, Chris Houlding, Niels-Ole Bo Johansen

 

 14:00〜は"Guest Stars Recital"と題し、ソリストたちが次々に得意のソロ・レパートリーを引っ提げて登場しました。13歳のピーター・ムーアPeter MooreがAria et Polonaise(Joseph Jongen)とConcertino - II & III(Lars-Erik Larsson)(公式DVDに収録!)のすばらしい演奏で先陣を切ると、クリス・ハウルディングChris HouldingとNiels-Ole Bo Johansenが電子音の録音伴奏と演奏するJericho(Wayne Siegel)、コントラバストロンボーンのブラント・アッテマBrandt Attemaとハープのアストリット・ハーリングAstrid Haringのデュオが、ユルゲンなどのために多くのトロンボーン作品を書いているオランダの現代作曲家マルティン・パディングMartijn Paddingののユニークな新作Schumann's Last Processionの世界初演を披露すると(公式DVDに収録!)、ミシェル・ベッケMichel Becquetが十八番のPrelude et Dance(John Mortimer)の美しい演奏で会場は溜息に包まれ(公式DVDに収録!)、ユルゲン・ファン・ライエンJorgen van Rijenが彼のソロCDのタイトルにもなっている"I was like Wow"(Jacob ter Verdhuis)をスクリーン映像とともに演奏して(公式DVDに収録!)、ソリストたちのリサイタルの幕を閉じました。

Jorgen performing his new masterpiece "I was like Wow"

 

 15:00からリハーサルを行った野外スペクタクルイベント"Earth Tone Journey"は、Quartet Relayを終えたメンバーたちも合流して、16:30に野外広場Schouwburgpleinで本番を迎えました。 当日は朝から天候が悪く、午後になってもいつもの空模様で降雨が心配されていましたが、スペクタクル開始予定時刻の頃までにはすっかり陽も射しはじめていました。いくつものトロンボーン吹きの集団が大音量の和音を街中に響かせて四方八方から広場に押し寄せてくると、このイベントを待っていた人、大音量に驚いて寄ってきた人、トロンボーンだらけのめずらしい光景を目にして覗きに来た人、マンションのベランダに出てくる人、トラックや乗用車の運転を路上でとめて眺めている人、お店や食べ物をそっちのけでレストラにゃカフェから出てくる人、しめて数千人が観覧に訪れました。

 今回のアトラクションは多数のトロンボーンだけでなく、ロッテルダムで活動する異文化圏のミュージシャンたちが共演しました。世界の四大陸から集い出会う"Earth Tone Journey"というテーマに基づいて、[Asia] "Trisno Sowoero" (A Gamelan orchestra)、[Africa] "Casa Tiberias" (A percussion and vocal group from Cape Verde Islands)、[South-America] "Antillian Brassband"が、作曲者で総指揮者を務めるAndrew Peggie氏、200人以上ものトロンボーン奏者たちとともに、大きな音楽のつながりをつくりあげました。

公式DVDに収録!

Hundreds of trombonists completely surrounded by thousands of people

 

 

 その晩は、今回のフェスティヴァルのメイン・イベントのひとつであるコルトワ・ガラ・コンサート"Courtois Gala Concert"が20:15からDe Doelen Jurriaansezaalで行われました。New Trombone CollectiveがJoseph Alessi、Christian Lindberg、Nils Wogramといったゲスト・ソロイストたちと繰り広げる、驚きと笑いが詰まったコンサート。聴衆は感動の渦に巻き込まれ、会場は歓声、溜息、笑顔であふれていました。

Orfeo en Sounds from Heaven (Claudio Moteverdi / arr. Koen Kaptijn)

DVD"Limbo Lounge"に収録

A Sound from Heaven (Jacob ter Veldhuis / arr. Koen Kaptijn)

 鈴のついた杖を片手に入場しスクリーンに映し出された不思議な映像とともにパフォーマンスをするクーンKoenと、客席後方左右に分かれた2つのカルテット。

Bombay Bay Barracuda (Christian Lindberg)

Kinky Creatures (Christian Lindberg) 公式DVDに収録

自作のソロ・ピースのあと、ユルゲンJorgen,バート Bart, マルクMarkとのカルテットを披露するクリスティアンChristian。

Summa (Arvo Part / arr. Koen Kaptijn) DVD"Limbo Lounge"に収録

 

Cogent Caprice (Tommy Pederson)

Wind Dance (Nicola Ferro)

ジョーによる圧巻のパフォーマンス!

ともに公式DVDに収録!

"Broken Bones"(Bert Appermont)

 吹奏楽伴奏のトロンボーン・ソロ・ピース「カラーズ」"Colors"で日本でも有名なベルギー人作曲家、ベルト・アッペルモントの最新作オクテットを、ユルゲンJorgenの指揮でNew Trombone Collectiveが世界初演。

 会場にはアッペルモント氏本人も駆けつけ、ステージに呼ばれ喝采を浴びました。

"Beat"(Vinex Productions)

DVD"Limbo Lounge"に収録

DVD"Limbo Lounge"にも収録されているこのコミカルな作品をアニメーションとともに披露。会場はそのアニメにリズミカルに登場する描写の数々に爆笑の渦に。 ステージ上の彼らも笑をこらえている気が・・・。

Sang till Lotta (Jan Sandstrom / arr. Steven Verhelst)

DVD"Limbo Lounge"に収録

ユルゲンJorgenとマルティンMartinのダブル・ソリスト。

Vertigo (Nils Wogram) 公式DVDに収録

ニルス自身の作品の世界初演でした。彼独特のサウンドと音楽センスが十二分に堪能でき、クラシック・ファンのほうがやや多い聴衆もおおいにその音楽を楽しんでいました。

 オランダ王国海軍軍楽隊のトロンボーン奏者のエヴェルト・ヨーセマンダースEvert JosemandersがNew Trombone Collectiveのためにつくった「アリスがNTCに出会ったら」"Alice meets NTC"は、あの有名な「不思議の国のアリス」のこの作品は10人のNTCたちがそれぞれ担当のキャラクターの衣装を着ながら、テープと動画と一緒に演奏するもの。メンバーたちの性格や外見を知り尽くしたエヴェルトならではのユニークなアイディアで、会場は一気に大盛り上がりとなりました。

Alice meets NTC (Evert Josemanders) 公式DVDに収録

【プログラムノートより】

 滅茶滅茶でシュールなこの曲は、有名な童話「不思議の国のアリス」"Alice in Wonderland" by Lewis Carollに基づいた約10分の作品で、New Trombone Collective(NTC)のためにテープ伴奏と映像を使って作曲しました。 夢の中でアリスは空想の世界に迷い込んでしまい、降りかかる困難をくぐりぬけて目を覚まします。このお話の世界は全く非論理的で、物事が時間の枠組みも理由もなしに繰り返されます。NTCのメンバーたちはストーリーに登場する特定のキャラクターの役を担当します。曲(ストーリー)の進行の中で、それぞれが演じるキャラクターのメイン・テーマを奏でます。その瞬間、アニメ映像に彼らの姿がシュールな姿態で登場しプレーヤーはかぶりものをかぶって、アニメに登場する空想のキャラクターに変身します。

Beginning of the piece

Cardguard

Chicken

Restroomturtle

"Tweedledee"

March Hare

Mad Tea Hatter

The King

Full Cast!

 

すぐさま、アンコールへ!

 Aliceを作曲したエヴェルトEvertは、アンコールも用意していた! しかも、これも映像とテープつき!

 ゲストのニルスとハリーがバトル、そこへ作曲者自身が掃除モップを持って登場し踊りだし、さらにスーザフォンのピエールPierreと絡み合い、ステージ上はもう大変なことに。。。

 

 聴衆の拍手に応えて、このGala Concertに登場したすべてのアーティストたちが整列。

 

 終演後は興奮冷めやらぬまま、前日と同様にホワイエのJazz Cafeへと移動して、ビールやワインを片手に、活発に活動する10人のオランダ人ミュージシャンたちによるザ・ヤング・シナトラス"The Young Sinatras"のライヴを楽しみ、夜遅くまで談義や大騒ぎが続きました。

Christian & Joe making jokes to each other

Ben, Nico, Henrik

Christian, Pierre, Joe

Spanish mafia with drunk Takashi

Remko, Cassiel, Damaris

Julie, Jason, Antti

Joe with the guys from Lyon

Alex, Koen and their friends

Christian, Pierre, Jorgen, new ideas for coming projects?

Takashi & Andy

Martin, Bart, George, Tomer

Harry chatting

Kossyo & Antti

Pierre, Christian, Johan, Jorgen

Japanese mafia enjoying Dutch beer

Andy, Christian, Pierre, Joe, Martin

"Big Three" of the organization SF2009 - Dirk, George, Bas

The same fighting pose (again drunk) as the one at SF2005

Drunk Takashi with Joe

Party was endlessly going on...

 

【3月29日(日) 〜フェスティヴァル最終第4日】はこちら