EUROPEAN TROMBONE FESTIVAL "SLIDE FACTORY" 2009

DAY 1 / 4 (Thursday 26 March)

【3月26日(木)〜フェスティヴァル第1日】

10:00-17:00
Public Masterclasses
Joseph Alessi, Michel Becquet, George Wiegel, Stefan Schulz, Students from five conservatories
20:15-22:30
Opening Concert
Koen Kaptijn, New Trombone Collective, Joseph Alessi, Michel Becquet, Stefan Schulz, Jorgen van Rijen

 

Alessi's Masterclass Wiegel's Masterclass
Becquet's Masterclass
Schulz's Masterclass

 

Public Masterclasses
 フェスティヴァル初日の朝は、J.アレッシ、G.ヴィーゲル、M.ベッケ、S.シュルツ各氏によるマスタークラスから始まりました。ロッテルダム音楽院(Codarts)内の合奏室ならびにレッスン室の4箇所に分かれ、ニュー・ヨーク、リヨン、ローザンヌ、ベルリン、ロッテルダムのトロンボーンの学生たちが、世界的に最もハイレベルな教育を誇るこの4つのクラスの教授に総当りでレッスンが受けられるこの企画は、実はフェスティヴァルの開幕を待たずにその週の初めから行われていました。その最終日が、SF参加者に公開で行われ、聴講者はすべての会場を自由に出入りしながら見入っていました。

 各音楽院の次世代を担う優秀な学生たちがそれぞれ、すでに高いレベルに達しているその多様なスタイルの演奏を披露していき、それを更に最高レベルへと向上させるための異なった側面の考え方、アイディア、トレーニング方法、問題点の扱い方などを、演奏者・聴講者ともに学べる時間となりました。

 世界中からの異なるメソードで学ぶ異なるスタイルの学生ということもあり、学生それぞれのケースに対して的確な指摘や提案をしたり、聴講する人たちのためにその学生のケースを詳しく分析して評価したりと、千差万別な内容となっていました。ともすると抱きがちな「あの先生は●●に関しては必ずこういう考え方だ」「あの先生はいつも■■のことを指摘する」というような“偏った受け取り方”や“誤解”や“固定観念”のようなものがあったとしたら、それらは参加者の脳裏から消え去ったのではないでしょうか。

 一方で、どの講師からも似たようなケースで言及される“共通項”のようなものもあったり、逆に全く異なるアイディアを持っていたりと、熱心にトロンボーンを学ぶ人たちにとっては興味深い、たまらない時間となったことでしょう。また、各音楽院・音楽大学の学生たちにとっては、他の優秀な学校のメソードや教育方針など直接見ることができて、おおいに刺激になり、収穫になったことでしょう。日本からフェスティヴァルに参加した皆さんも、各会場で熱心に聞き入り、メモをとっていました。

Masterclass Becquet Masterclass Alessi

 午後からは、5つの音楽院合同のトロンボーン・クワイヤーの最終リハーサルが公開され、ロッテルダム音楽院内のMuziekzaal"6.35"室は立ち見を含む見学者であふれかえりました。指揮者のベン・ファン・ダイク氏のもと、 28日のDe Doelen Grotezaal(大ホール)でのコンサートのための熱の入ったリハーサルが繰り広げられました。

 各音楽院でそれぞれに鍛え上げられてきたアンサンブル演奏をこの大人数で集まってまとめるのは正直大変なことと思いますが、その状況で何に気を配れば、ものごとが揃ってくるのか、かつカラーや音楽的なエナジーを失わずにできるか、というようなことをまわりのサウンドを聴きながら一人ひとりのプレーヤーがよく考えてリハーサルしているように感じられました。

 リードするベンも、世界中を駆けまわってレッスンやマスタークラスを行っている名教授として、国際色豊かなこの集団に対して非常に的確な指示を出し、リハーサルをとても円滑に進めていたと思います。

 聴講者の中にはこのような大きなアンサンブルを目の当たりにするのが初めての人も多くいたようで、その迫力に驚きつつも、この大人数にして騒々しい“ノイズ集団”にならずに音楽的に細かいところまでケアの行き届く演奏に興味津々といった感じで、来たる大ホールでのコンサートを心待ちにしているようでした。

Tenor group Listen to the conductor
Listeners Linteners
Ben gives his suggestions A great view!

 リハーサル後には見学者同士や音楽院生たちの間で団欒となりました。

Guys chilling in the cantine

 

 20:15〜は、このフェスティヴァルの初日を豪華ゲストが飾るオープニング・コンサート。Koen Kaptijn, New Trombone Collective, Joseph Alessi, Michel Becquet, Stefan Schulz, Jorgen van Rijenが出演し、De Doelenに集まった聴衆を魅了しました。

 ヨーロッパの街々ではおなじみのストリートオルガンと、チューニング管をいっぱいに抜いたKoenのトロンボーンとの、摩訶不思議なデュエット(Eric de Clercq)にはじまり、New Trombone Collectiveが昨秋に初演しDVD"Limbo Lounge"にも収録されているLimbo Lounge(Florian Maier) を披露(公式DVDに収録!)。続いてStefanがBrahmsの小品でこれがバストロンボーンかとは思わせれるような美しい演奏で聴衆の溜息を誘った(公式DVDに収録!)あとは、Joe, Jorgen, Michel, Stefanによる世紀のカルテットのデビュー・コンサート! Vivldi, Lotti(公式DVDに収録!), Debussy, Hornoff, Schnyder(公式DVDに収録!)の作品による4人それぞれのの特色が生きたプログラムで、このトロンボーン四大ヴィルトゥオーゾのファンにはたまらない饗宴となりました。

 

 

Stefan Schulz

 

シュテファン・シュルツのブラームス(オープニング・コンサートより)

 

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公式フォトグラファーHans Spepekenbrinkの写真でフェスティヴァルの様子を覗いてみましょう。

 

 

 コンサートの興奮冷めやらぬまま、De Doelenロビーでのアフター・パーティには初日から多くのプレーヤーやファンが集い、垣根のない交流とトロンボーン談義が夜遅くまで続きました。

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